“ナニ”さんのこと2005年08月26日 19:49

“ナニ”さんのことを、私は最近まで知らなかった。
というより、関心が薄かったために、気付かなかったという方が正しい。

ある日の中国人幹部S部長の言葉で気がついた。
S:「この書類は英語だったので、“ナニ”に翻訳させました。」
私:「???・・・。“ナニ”って?」
S:「あぁ、“カ”のことです。彼は英語が得意なんです。」
私:「???・・・。“か”?・・・・・・。あぁ、“何”さんですか。すみません、わからなかった。」

中国人スタッフの呼び方については、なかなか難しい面がある。
“高”さん、“黄”さんを日本人は普通どちらも“コウ”さんと呼ぶ。中国人同士でも、日本語で話すときは同じように呼び合う。ところが、特に電話の場合など、
「“コウ”さんってどんな字ですか?」
と訊かれることになる。そこで私は中国読みにならって“ガオ”さん、“ホワン”さんと呼ぶことにしている。そうすれば、両方のひとが近くにいるときも間違われずに済む。

ところが、男性スタッフ“何”さんの場合、“カ”さんと言ってもわかりにくいとみんな思っているのだろうか。
中国読みにならって呼ぼうと思うと、“ホ”さんになるのであろうが、この発音は本来“ハ”と“ヘ”の中間のような音で、日本語にはない。それで、“ナニ”さんが良いということになるのかな、と思う。
いわゆる日本語の訓読みになるのであるが、これだと“高”さん、“黄”さんはさしずめ“タカ”さん、“キ”さんになり、これも何となくしっくりこない。

いずれにしても、“何”さんだけは呼び方が変で、思わず笑ってしまいそうになる。

K嬢は、“何”さんとは事務所の中で対角線の端と端にいるのだが、ときどき「“ナニ”」と呼ぶ。
(そんな呼び方でいいの?)とも思うが、ひどいときは大きな声で
「“ナーニー!”」。
やさしい“何”さんは、大きな体を揺らしながら、K嬢の所までのそのそと歩いていって、おそらく日本語だったら
「なに?」
とでも言っているのであろう。
実際は上海語なので私にはさっぱりわからないが。

何となく上海の男女のチカラ関係を見ているようで面白い。